[ウスリスク2024訪問団] 9. 広闊な満州原野

「広野で」という歌があります。 1987年10月13日、ソウル鍾路5街のキリスト教百周年記念館で開かれた<歌を求める人々(=ノチャッサ)>の創立公演で初めて公開演奏された歌です。

 

 

<広野で>は、1984年、成均館大学校の歌サークル<ソリサラン>で誕生しました。 文大鉉(ムン·デヒョン, 貿易学83)作詞作曲の「広野で」はその後運動歌謡の代表曲となりましたが、いつも非/反合法集会や飲み会で愛唱されました。 それが<ノチャッサ>が最初の公開公演を決定すると、演奏曲に選ばれたのです。

 

<ノチャッサ>は1983年、ソウル大学の歌サークル<メアリ>の創立者イ·ギョンホ(経営学75)先生と文大鉉の実兄文承鉉(政治78)先生などが主軸になって、延世大学<ウリムト>、高麗大学<ノレアル>、成均館大学<ソリサラン>、梨花女子大学<ハンソリ>などの卒業生たちが参加して創立された演奏團です。

 

 

金光石(キム·グァンソク)は大学の歌サークル出身ではありませんが、1982年に結成された汎大学歌サークル「連合メアリ」に参加し、運動歌謡に第一歩を踏み出し、卓越した歌唱力ですぐにノチャッサの中核メンバーとなりました。 ノチャッサ創立公演でも金光石は「緑豆の花（金芝河詩/趙念作曲）」と「この山河に（文承鉉作詞/作曲）」を歌い、「広野で」でもイ·ジュイク先生と交互にソロ部分の歌唱を担当しました。

 

「広野で」の編曲は文承鉉先生が担当し、文大鉉先生は伴奏班でドラムを担当しました。 「おい、ここのドラムは文大鉉がやらないと」と言っていた文承鉉先生の声が生々しいです。 最も正確で力強く、味よくシンバルを打つことができるというのが理由でした。

 

 

私はこの公演で司会を務め、『風のシンシン』や『わが国わが民族』、『松よ松よ青い松よ』や『広野で』などの合唱にも参加しましたが、それは私がノチャッサの初期の代表歌手であるチョ·ギョンオク、イ·ジュイク、パク·ミソン、キム·ジェソプ、ソン·スクファン、キム·グァンソクのように歌が上手だったからではありません。

 

ただ、公演の司会をしながら曲と歌手を紹介し、そのまま入るのではなく、合唱に声でも加えなさいという文承鉉先生の指示があったからです。 この歴史的な公演でそのような役割でも引き受けたことが、私には人生の胸がいっぱいになった瞬間の一つとして残りました。

 

 

『広野で』の話が長くなりましたが、それは「広闊な満州原野」という歌詞のためです。 それまでは、日帝植民地時代の独立軍歌を除いては「満州」が運動歌の素材になったことはほとんどありませんでした。 「広野で」を通じて満州の原野が再び韓国の主流の運動歌謡に流入したのです。

 

私は「広闊な」という形容詞が気に入りましたが、満州の原野を直接見るまでは、その言葉の意味をきちんと理解することはできなかったようです。 アメリカのウィスコンシン州やアリゾナ州を横断しながら、その似たような感じを持っていたのは事実ですが、その時はその広大さが私とは関係ありませんでした。 他人の土地だという考えが先走ったからだと思います。

 

 

しかし、今回延吉空港に降りるまで窓から見下ろす満州は広闊で、この広大な土地が一時韓民族の暮らしの基盤だったという事実がこみ上げてきました。 雲でもかかっていたら事情が違っていたでしょうが、その日に限って天気がとても良くて3万フィート上空を時速700キロで飛びながらも、果てしなく続く山々とその間の広大な丘陵や野原がはっきりと見下ろせたのです。

 

 

今回の訪問の前後の旅程が<広野で>に対する親近感を増してくれました。 仁川空港を出発する直前に、私はユジュン画伯の五月美術館展示会を応援するために光州に行ってきました。 そしてすぐに満州の上空を飛ぶようになったのです。

 

また沿海州に行く際には飛行機便で西海上空を経由し、帰国の途には船便で東海を横切って東海港に入港することになっていました。 沿海州の訪問を前後に、南道と満州、西海と東海の両方を旅行するようになったのです。 今度の旅行で<広野で>が私の主題歌になった理由です。

 

"日が昇る東海から/ 日が沈む西海まで/ 熱い南道から/ 広闊な満州原野" (jc, 2024/5/14)

 

 

 

1987年10月、『ノチャッサ』の初公演で演奏された『広野で』を聴いてみたいなら、下のリンクを押してみてください。（さらに、私が歌っている姿も出てきます。^^)

 

https://www.youtube.com/watch?v=U3U8jasua0Y&list=PLqY5Wn1plEnGlTGhoZUoiHE9JcSMgJtqL&index=9