[ウスリスク2024訪問団] 30. ラズドルノイエ 汽車駅

一行はバラバシュで30分休憩を取った後、再びバスに乗車してウスリスクに向かう途中、ラズドルノイエ(Раздольное)でもう一度停車しました。 ここの鉄道駅が1937年の高麗人強制移住が始まった場所だからです。ここは北韓の2代目主席、金正日国防委員長の生誕地でもあります。

 

 

ブラジボストックの北約70キロメートル、ウスリスクの南約30キロメートル離れた場所に位置するラズドルノイエは、ロシアが沿海州を割譲されるやいなや村が形成された沿海州初期の定着地です。 ここに軍隊が駐屯していたからですが、軍事的要衝は交通の要衝でもあります。

 

 

現在も、ラズドルノイエは、クラスキノから北上するA189国道と、ウラジオストクから北上するA370国道が出会う場所であり、ハッサン-ウスリスク鉄道とウラジオストク-ウスリスク鉄道が出会う場所です。

 

 

このように合わさった二つの鉄道はウスリスクにつながり、ハバロフスキーを経てモスクワへ行くシベリア横断鉄道とハルビンを経てチーターへ行く満州横断鉄道に再び分かれます。 満州横断鉄道はチーターでシベリア横断鉄道に合流しますから、結局シベリア横断鉄道と満州横断鉄道の目的地はすべてモスクワです。

 

 

ラズドルノイエにも高麗人の村がありました。 ロシアの記録によると、1895年頃に形成された高麗人村には餘戶人30世帯が暮らし、1906年頃には62世帯300人に増えました。 1907年、ラズドルノイエの全体人口が570人だったということですから、高麗人が多数だったということです。 ラズドルノイエの人口はロシア革命と内戦が終息し、1923年には4千人に増加しました。

 

 

1924年1月にレーニンが死亡し、スターリンが政権を握って集団農場化を強行した時、ラズドルノイエ人口は大きく増え、1939年の7,700人、1959年の1万人に増加して頂点に達しましたが、その後は持続的に人口が減少し、2021年には5,700人が暮らしていると集計されました。

 

特に1939年の人口7千7百人はラズドルノイエの高麗人が強制移住させられた後の数字であるため、ここの人口はおそらく1937年頃に1万人以上の最高値を記録したと推定されます。

 

 

ソ連政府の高麗人強制移住は迅速に進みました。 1937年8月21日に強制移住が決定された後、2段階で行われましたが、まず9月初めから国境地域(下山、秋風、ウスリスク、水清地域)の高麗人が優先的に移送されました。

 

ラズドルノイエの高麗人は、その中でも一番先に移送されました。 強制移住列車の出発点がここだったからですが、高麗人を乗せた最初の強制移住列車がラズドル奴隷を出発したのは1937年9月9日でした。

 

 

その後、9月28日付けの追加決定により極東州の残りの地域の高麗人が強制移住され、10月25日のソ連内務人民部イェジョポ議長の報告書によると、計36,442世帯171,781人の高麗人が移住を終えたということです。 その後、カムチャツカおよびオホーツク地域に残っていた700人余りの高麗人が11月1日から最終列車で移住したことで、高麗人強制移住が完結しました。

 

 

同年11月には移住民の配置まで完了しましたが、1937年12月5日の報告書によると、カザフスタン共和国に20,141世帯95,427人、ウズベキスタン共和国に16,079世帯73,990人、タジクスタン共和国に13世帯89人、キルギススタン共和国に215世帯421人の計36,448世帯169,927人の高麗人が移送、配置が完了したそうです。

 

 

ラズドルノイエが有名なのは、ここが北韓の2代目主席、金正日国防委員長の生誕地でもあるからです。 北韓当局は金正日の誕生日は1942年2月16日だと発表しましたが、日本の関東軍や満州軍の文書、そしてソ連政府の記録などによりますと、金正日国防委員長の誕生日は1941年2月16日で、誕生地はラズドルノイエの旧名であるハマタンであることが明らかになっています。

 

 

特に、金正日が生まれた当時、赤ちゃんを授かった助産院の証言によると、金正日の出生地はラズドルノイエ·ラジョ街(улица Лазо)88番地の集合住宅であることが確認されます。

 

 

最後にラズドルノエは南北にとても長い都市ですが、そのうちラズ街は南の端から北の端までの距離が12キロメートルに達し、ロシアで最も長い距離として知られています。 (jc, 2024/5/15)