[バングラデシュ2024キャンペーン] 19.組織暴力団政権

ハシナ政権で起こったバングラデシュの不正腐敗は、大臣などの官僚に限ったことではありませんでした。 軍と警察、さらには組織暴力団とも関連した不正腐敗が蔓延していたと知られています。

https://www.youtube.com/watch?v=a6v_levbUN4

 

「アルジャジーラ(Al Jazeera)」は2021年2月1日、「ハシナ首相の人々(All the Prime Minister's Men)」という深層取材を報じました。 ハシナ首相の陸軍参謀議長のアジズ·アーメド（Aziz Ahmed）は1981年に軍に入隊した後、1990年代半ばにハシナの個人警護員として勤務したことがあり、その後、進級を重ねて2018年に陸軍参謀議長に就任しました。

 

 

2014年にハシナ首相は総選挙で圧勝しましたが、このとき国境守備隊が選挙に介入、野党関係者を拘禁、拷問し、野党支持者の投票場への入場を妨害しました。 当時、国境守備隊長がアジズ·アーメドでした。

https://netra.news/2021/the-murder-trial-of-the-three-ahmed-brothers/

The murder trial of the three Ahmed brothers

 

アジズ·アーメドが陸軍参謀議長に任命される直前の2018年5月、1996年の殺人犯として死刑宣告を受け、2015年に終身刑に減刑され収監中だったジョセフ·アーメド(Joseph Ahmed)がモハマド·アブドゥル·ハミド(Mohammad Abdul Hamid)大統領によって赦免されました。

 

 

ジョセフ·アーメドは1996年5月7日、ハリス·アーメド(Haris Ahmed)とアニス·アーメド(Anis Ahmed)と共に野党指導者ムスタファ·ラフマン(Mostafizur Rahman)を射殺した疑いで起訴され、2004年5月25日の最終審でジョセフ·アーメドは死刑、ハリス·アーメドとアニス·アーメドは終身刑を宣告されました。 ハリス·アーメドは逮捕から逃れ、アニス·アーメドは裁判中に保釈され、逃走しました。

 

 

ジョセフ、ハリス、アニス·アーメドは、陸軍参謀議長のアジズ·アーメドの兄弟です。 アジズが軍のキャリアを築いている間、残りの兄弟は組織暴力団として活動しました。 「アルジャジーラ」は、軍と暴力団のファミリーがハシナの政権延長のために緊密に協力してきたと報じました。

 

 

「アルジャジーラ」はまた、ジョセフ·アーメドが野党人士の殺人犯として服役中であることがアジズ·アーメドの陸軍参謀議長任命に欠格事由になることを憂慮したハシナ首相が、モハメド·ハミド大統領にジョセフ·アーメドを赦免するよう要請したものだと報道しました。 モハメド·ハミド大統領はALの公薦で当選し、2013年4月から2023年4月まで大統領に在任しました。

 

 

「アルジャジーラ」は、アーメド兄弟が軍の影響力と組織暴力団の活動を結びつけて、政権維持のために市民を弾圧したと主張しました。 <アルジャジーラ>の報道映像でジョセフ·アーメドは「彼ら(=RAB)が私たちの暴力団なのに、私たちがなぜ別に暴力団が必要なのか」と発言した経緯があります。

 

 

迅速対応軍(RAB:Rapid Action Battalion)はアジズ·アーメド参謀議長が指揮する軍事組織です。 RABは野党とマスコミ、反政府人士の弾圧する過程で数千件の強制失踪(forced disappearance)と司法外殺人(extra-judiciary killing)の主犯として名指しされてきました。

 

アーメド兄弟たちは軍と暴力団の影響力で選挙の公薦過程にも介入しました。 <アルジャジーラ>はジョセフ·アーメドが「60万ドルの賄賂でアワミリーの公薦を与えた」と発言したことを報道しました。

 

 

<アルジャジーラ>はまた、ジョセフ·アーメドがハンガリーのブダペストとフランスのパリでマネーロンダリングをした情況も報道しました。 ジョセフ·アーメドはブダペストとパリで数十個のビジネスを開業し、短期間に廃業したりしましたが、このビジネスが主に現金を利用する事業であるため、バングラデシュから越えてくるお金を合法化する手段として活用したと推定しました。

 

 

また、彼らはバングラデシュの軍納事業を独占、相当額の金を海外に流出させた疑いも持たれていますが、臨時過渡政府の反腐敗委員会は彼らの資金の流れも調べているとされています。 (jc, 2024/11/20)